僕の職業は、東京上空を飛ぶヘリクルーズのパイロット。今夜のお客さんは赤ら顔に白いヒゲの外人男性が一人。大柄な体を窮屈そうに丸めて、客席に乗り込みました。
 きらめく高層ビルを見下ろしながら、流暢な日本語で「東京も一年でずいぶん変わったネ」「道に迷わないようにしないと」などとつぶやいています。
 さて、夜景クルーズが終わってヘリポートに着陸すると、彼が僕に話しかけてきました。
 「クリスマスは誰と過ごす?」
 僕には相手がいないので、と苦笑いすると、では君に早めのプレゼントを、と言って僕の胸をぶ厚いてのひらで押すのです。すると、ポケットの携帯電話が鳴り始めたではありませんか。電話に出ると、それは昔別れた彼女でした。なんだか急に電話してみたくなったの。ねぇ、クリスマスの予定は……?
 彼女とデートの約束をして、電話を切って振り向くと、広いヘリポートには僕一人しかいませんでした。
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